1. アメリカの二つの国家
Eri Substack - クリフ・ハイのナラダイム調査・法律編より
EriQmapJapan が翻訳してくれたクリフ・ハイのシリーズ「クリフ・ハイのナラダイム調査・法律編」がとても重要な話だったので、理解を深めるために要点抽出し、紳士的なつもりでお届けします。
アメリカ合衆国とアメリカ共和国
アメリカには二つの国家がある?
クリフ・ハイ:
「アメリカには、二つの別々の国家があります。歴史の授業ではこのことを教えません。彼らは意図的に教えないのです。それは、この国が “どのような法律に基づいて、どのように運営されるか” に影響してしまうからです。」
二つの別々の国家がある…これはどういうことかでしょうか。
クリフ:
憲法の欠陥が、この二つのアメリカの誕生を許しました。 一つは北アメリカ大陸に存在する国家で、もう一つはワシントンDCの法人であるアメリカ株式会社です。
クリフが話している「2つの国家」は、次のような意味になります:
アメリカ共和国 … 1776年にイギリスの植民地だった北アメリカ大陸の13州が独立宣言によって一つの国家であるアメリカ合衆国として独立した「連邦制の共和国」
アメリカ合衆国 … ワシントン州の中にあり、ワシントン州の管轄ではなく連邦政府が直轄する区域である首都「ワシントンDC (コロンビア特別区)」および、その法人である「アメリカ株式会社」
ここで、なぜクリフが「アメリカ株式会社」を「国家」と表現しているのか疑問に思うでしょう。それは…
アメリカ合衆国連邦政府が
「合衆国連邦 (アメリカ) から独立」した地位を与えられ
コロンビア特区という「合衆国の州ではない場所」で
国家(United States of America)を運営している
という状況があるからなのです。
アメリカ合衆国において、(実質的な意味での)国家統治の条件を満たし実行支配している組織(連邦政府)が「ワシントンDC法人のアメリカ株式会社」であること、また、その実体は単なる民間企業でありながら、実際には国家運営に携わる権限を有しているということなのでしょう。
(補足:国家とは「実力統治的な政治共同体」のことです。領土と国民を支配できる実力を持った政治的組織が統治権によって国を統治している共同体)
このようにアメリカ合衆国は、領土的な意味では「北アメリカ大陸に存在する一つの国家」ですが、もう一方で「国家を運営する事業体」という側面を持っています。これらを「別々の国」として分けて考えているのがクリフの主張であり、実際に国家運営の構造的なバックグラウンドがこのような状態であることを窺い知るのは想像に難くありません。
次は、アメリカ株式会社という「民間企業」の持つ権限を歴史背景から見ていきましょう。
歴史的背景
アメリカは1776年に一度独立したが、1812年の米英戦争でイギリスとカナダに負け、アメリカ共和国は財政難に陥り経済的破綻を迎えた。その後1862年、リンカーン大統領が「法貨条例 (Legal Tender Act of 1862)」を制定、国際銀行家たちから借金して財政を賄うのではなく、合衆国財務省から政府紙幣を発行して借りるために通貨発行システムをつくった。
その後、南北戦争後もこの通貨発行システムを永続的にアメリカで存続させることを表明した直後にリンカーンは暗殺され、政府紙幣の発行も中止されてしまう。
そして1871年、すでに国際銀行家たちによって買収されていた米国議会は、アメリカ共和国とは別の法制度を持つ「ワシントンDC(Washington District of Clumbia)」 に新たな連邦政府をつくる法案を可決させた(コロンビア特別区法)。
この歴史背景をもとにクリフ・ハイの話を聞いてみる
クリフ・ハイ:
(注:クリフは動画内で憲法第1条3項17号と言っていますが、これは3項ではなく8項(8節) のことだと思われます。おそらくクリフの単なる勘違いでしょう。)
クリフ:「この憲法によって2つの国家が誕生することになった」
( article.1 section.8 clause.17 )
17.特定の州が割譲し、合衆国議会がそれを受けることにより合衆国政府の所在地となる地区(10マイル平方を超えてはならない)に対して、あらゆる事項に関する専属的な立法権を行使すること。要塞、武器庫、造兵廠(ぞうへいしょう)、造船所その他必要な建造物を建設するため、管轄する州の同意を得て購入した土地のすべてに対して、同様の権限を行使すること。
この憲法第1条第8節では、「議会の権限」を定めています。
議会に国の首都として機能する連邦地区の設立権限を与え、
議会にその地区を管理する独占的な権限を与える。また、
議会に、「権限およびそれに付与されたその他の権限」を実行するために必要かつ適切な法律を作成する権限を付与する。
これがクリフの言う「ワシントンDCの領土と連邦政府の領土が立法府と💩議会の支配下に置かれることになった」ことについての理由だと思われます。
クリフは憲法の欠陥だと言ってますが、これは事実上、立法府の独占状態なのですから確かにそうでしょう。合衆国連邦政府は、司法・立法・行政の三権分立の形は取っているものの、「DCと連邦政府の領土における権限」は立法府に偏っているということです。
要点をまとめると、
アメリカ株式会社は、ワシントンDCと連邦政府領土を扱う独占的な権限と、その権限行使に必要な法律を作成する権限を与えられた「議会/立法府」を通して国家事業を企業的に運営している(またはすることができる)
ということです。
ワシントンDCは民主主義
クリフ・ハイ:
「彼らはアメリカ大陸の市民ではなく、どの州の国民でもありません。 彼ら住民は文脈上、ワシントンDCを支配する立法府の臣民であるということなのです」
「彼ら住民は文脈上、DCを支配する立法府の臣民である」
この文言を注釈すると、
実際にアメリカ合衆国に住んでいて、アメリカ国民としての権利を保有しながらも、「議会と立法府のみ」に管轄権がある連邦領土に住む彼らは、文脈上(アメリカ株式会社が国家であれば)立法府の臣民である。
とクリフは言いたいのでしょう。
ワシントンDC(コロンビア特別区)の法人である「アメリカ株式会社」が国家であると言う事実証明はできないが、国内の党派的分断、両党の掲げる主義思想(民主主義/共和主義)の違い、国の歴史的成り立ちや外来為政者の介入、国際銀行資本家との絡み…などから洞察すると、状況証拠はいくらでも見えてくるのです。
その紹介はまた、次回で…
この話は陰謀論なのか?
この説に関して、
「コロンビア特別区法(Act of 1871)は米国が住民を所有するために制定されたのではなく単に事業体として法人化されただけだ!」
と喧伝するファクトチェックが大量にありますが、その文脈通り、ワシントンDCが法人化され事業体となったことが事実なのであれば、アメリカ株式会社が陰謀の温床…もっというと陰謀の糠床になっているかもしれないことは否定できないのです。問題解決のために結果的に法人化したのかもしれないが、それを悪用して利益を生み出すことが「知的謀略集団」である国際銀行家たちのノウハウなのです。
また一方で、
「アメリカ株式会社が倒産、トランプが新しく共和国を作った!」
という意味不明なストーリーとは一線を画すべき話でもあります。各SNSやブログなどで善意の誤解釈や工作的な偽情報キャンペーンによる表面的な話だけがまことしやかに拡散されていますが、それらはマネタイズ目的でアイディアだけ転用・盗用されたものがほとんどです。








